第六十二段 延政門院いときなくおはしましける時、
■『徒然草』朗読音声の無料ダウンロード
■【古典・歴史】メールマガジン
■【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル
延政門院いときなくおはしましける時、院へ参る人に御言づてとて申させ給ひける御歌、
ふたつもじ牛の角もじすぐなもじゆがみもじとぞ君はおぼゆる
こひしくおもひまゐらせ給ふとなり。
口語訳
延政門院が幼くていらっしゃった時、父後嵯峨上皇の御所に参る人に言づてとして申上げなさったという歌、
ふたつ文字(こ)、牛の角のような文字(ひ)、まっすぐな文字(し)、ゆがみ文字(く)…父君のことが思われます。
恋しく思われて申上げなさったということである。
語句
■延政門院 後嵯峨上皇の第二皇女悦子内親王。母は西園寺公経の女。後嵯峨上皇40歳の時の御誕生。 ■いときなく 幼く。 ■院 後嵯峨上皇の仙頭御所。場所は不明。 ■
メモ
■延政門院は後嵯峨上皇の第二皇女。父である後嵯峨上皇に「こいしい」と歌を送った。
朗読・解説:左大臣光永