第百五十三段 為兼大納言入道召し捕られて

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為兼大納言入道召し捕られて、武士どもうち囲みて、六波羅へ率(い)て行きければ、資朝卿、一条わたりにてこれを見て、「あなうらやまし。世にあらん思ひ出、かくこそあらまほしけれ」とぞ言はれける。

口語訳

為兼大納言入道が召し捕られて、武士たちが囲んで、六波羅へひっぱって行った所、資朝卿は、一条あたりでこれを見て、「ああうらやましい。世に生きた思い出は、このようにありたいものだなあ」と言われた。

語句

■為兼大納言 京極為兼。藤原定家の曾孫。『玉葉集』の撰者。京極派の中心として二条為世(兼好の師)と歌道において対立した。二度にわたって捕えられ、始めは佐渡に、二度目は土佐に流された。この記事は二度目の時のもの。後に許されて河内に移ったが元弘2年(1332年)没した。帰京はできなかった。79歳。 ■六波羅 六波羅探題。鎌倉幕府の出先機関。京都東山区の六波羅に置かれた。南北二つがあった。都の守護・監視を行った。正慶2年(1333年)足利尊氏により攻め落とされる。 ■一条わたり 一条あたり。

メモ

■京極為兼
■六波羅

朗読・解説:左大臣光永

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