十五夜

十五夜旧暦8月15日の夜。新暦では9月に入ることも。「中秋の名月」を鑑賞し、秋の収穫に感謝する行事。月見・名月・芋名月・栗名月・豆名月などども。

中秋の名月の中秋とは、旧暦では789月が秋であり、その真ん中の8月を「中秋」とし、「中秋の名月」はもっとも美しいとさる。

文徳天皇(827-858)の代から文献に見え、平安貴族の間では池に船を浮かべ、中秋の名月を愛でて詩歌管弦の宴が広く行われました。

現在の十五夜は、縁側に台を設けて芋(里芋)や月見団子、枝豆、栗、おはぎなどを供え、薄の穂など秋の七草をさして、月を愛でます。

(供物は地域によってさまざま)

地域によっては、こうした供物を盗んでよいとか、どこそこの畑に入って芋を盗んでよいとされ、子供たちに盗まれると、かえって縁起がよいとします。

古くから月の運行は農業と深くかかわり、十五夜の行事も豊作を祈願し感謝する意味合いがあります。

綱引き

十五夜に綱引きをする地域も、全国にあります。(運動会の競技のように)実際に勝ち負けを競うところ、あらかじめ勝つほうが決まっており、デモンストレーションとして行うところ、単に皆で綱をもってところ、地域によってさまざまなバリエーションがあり、十五夜のほか、小正月に行わることもあります。

その目的は年占、豊作祈願・感謝、厄除けなどさまざまで

月の呼び方

旧暦の9月13日の夜を十三夜(じゅうさんや)とよび、十五夜についで美しいとされます(豆名月、栗名月とも)。『徒然草』には「清明なる故に、月を玩ぶに良夜とす」と。

供物は十五夜は十五個、十三夜は十三個と区別します。十五夜か十三夜の一方だけ月見をする「片月見」は縁起が悪いとされます。

月にいろいろな呼び方があることもおぼえておきたいです。

旧暦7月15日は盂蘭盆会なので「盆の月」、秋になって最初に見る満月です。

旧暦8月2日から7、8日までの上弦の月を「夕月夜(ゆうづくよ)」、

名月の前の版の8月14日の月を「待宵」もしくは「小望月」、

十五夜に月が出ない時は「無月」といい、曇天であっても月を懐かしんで「雨月」と呼びます。

十五夜の翌晩が「十六夜(いざよい)」。十五夜よりやや遅くに月が出るので「いざよう(ためらう)」の意をふくめています。

17日の月を「立待月」、18日は「居待月」、19日は「臥待月」もしくは「寝待月」。月の出がだんだん遅くなっくることをそれを見ている人の所作でしめしています。

20日夜は「更待月(ふけまちづき)」、23日夜を「弓張月」や「半月」といいます。昔の人は月の満ち欠けに応じて日一日と名前をつけて月に親しんできたのですね。

秋の七草

秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七種の花

萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花

(山上憶良)

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朗読・解説:左大臣光永

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