徒然草 現代語訳つき朗読
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つれづれなるままに、日くらし硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
『徒然草』は兼好法師による全243段からなる随筆です。内容は、人生論あり、友情論あり、思わず笑ってしまう失敗談あり、辛口の人間批評や政治批評あり、ことわざのようなキラリと光る警句あり、歴史上の人物の逸話あり…バラエティ豊かです。
「書き出しは学校で習った覚えがあるけど、後はぜんぜん知らないよ」という方もあるでしょう。その一方で「大人になって読み返したい古典」として真っ先にタイトルが上がる作品でもあります。
そうなのです。『徒然草』の面白さは、受験勉強のお題にされるだけではもったいないものです。むしろ大人になって、さまざまな経験を重ね喜びも悲しみも重ねた果てにこそ、「ああ、わかるなあ」と共感できる…『徒然草』はそんな作品です。
登場人物は天皇・上皇から貴族・武士・僧侶・職人・博打打ちまで、男も女も、さまざまな階層にわたっています。しかも、そのあらゆる階層の人々が、作者・兼好法師のすぐれた人間観察眼を通して活き活きと描かれ、まるで身近な知人・友人のように感じられます。
ただし作者は基本的に口が悪く、「えっ…!?」という極論も目立ちます。「歳とると見苦しいので人は四十歳前に死ぬべきだ」などと書いています。特に「女性」と「結婚」と「酒」の三つは大嫌いだったようで、ケチョンケチョンにけなしています。
その一方で、やはり女には引きつけられてやまないとか、酒も相手と場合によっては味わい深いと言ってみたり…あれ、さっきと言ってること違うぞという矛盾。これこそが人間くさく、ほほえましく、『徒然草』の大きな魅力になっています。
このサイトは、古典・歴史の「語り」をなりわいとする左大臣光永が、『徒然草』の全段を徹底して詳しく、丁寧に解釈し、有名な箇所は朗読音声つきでお届けします。一見難解な古文の言葉も、耳で聴くと意味がつかみやすいはずです。
- 序段 つれづれなるままに
- 第一段 いでや、この世に生まれては
- 第二段 おろそかなるをもてよしとす
- 第三段 色好まざらん男は、いとさうざうし
- 第四段 後の世の事、心にわすれず
- 第五段 不幸に愁にしづめる人の
- 第六段 子といふ物なくてありなん
- 第七段 あだし野の露きゆる時なく
- 第八段 世の人の心まどはす事、色欲にはしかず
- 第九段 愛著の道
- 第十段 家居のつきづきしく、あらまほしきこそ
- 第十一段 来栖野といふ所を過ぎて
- 第十二段 おなじ心ならん人としめやかに物語して
- 第十三段 ひとり灯のもとに文をひろげて
- 第十四段 和歌こそ、なほをかしきものなれ
- 第十五段 しばし旅だちたるこそ、目さむる心地すれ
- 第十六段 神楽こそ
- 第十七段 山寺にかきこもりて
- 第十八段 人はおのれをつづまやかにし
- 第十九段 折節のうつりかはるこそ
- 第二十段 なしがしとかや言ひし世捨人の
- 第二十一段 よろづのことは、月見るにこそ
- 第二十二段 なに事も、古き世のみぞしたはしき
- 第二十三段 おとろへたる末の世とはいへど
- 第二十四段 斎王の野宮におはしますありさまこそ
- 第二十五段 飛鳥川の淵瀬常ならぬ世にしあれば
- 第二十六段 風も吹きあへずうつろふ人の心の花に
- 第二十七段 御国ゆづりの節会おこなはれて
- 第二十八段 諒闇の年ばかりあはれなる事はあらじ
- 第二十九段 しづかに思へば
- 第三十段 人のなきあとばかり
- 第三十一段 雪のおもしろう降りたりし朝
- 第三十二段 九月廿日の比
- 第三十三段 今の内裏作り出だされて
- 第三十四段 甲香は
- 第三十五段 手のわろき人の
- 第三十六段 久しくおとづれぬ比、いかばかりうらむらんと
- 第三十七段 朝夕隔てなく馴れたる人の
- 第三十八段 名利に使はれて、しづかなるいとまなく、
- 第三十九段 或人、法然上人に、
- 第四十段 因幡国に、何の入道とかやいふ者の娘、
- 第四十一段 五月五日、賀茂の競馬を見侍りしに、
- 第四十二段 唐橋中将といふ人の子に、
- 第四十三段 春の暮つかた、のどやかに艶なる空に、
- 第四十四段 あやしの竹の編戸のうちより、いと若き男の、
- 第四十五段 公世の二位のせうとに、良寛僧正と聞えしは、
- 第四十六段 柳原の辺に、強盗法印と号する僧ありけり
- 第四十七段 或人、清水へまゐりけるに、
- 第四十八段 光親卿、院の最勝講奉行してさぶらひけるを、
- 第四十九段 老来りて、始めて道を行ぜんと待つことなかれ。
- 第五十段 女の鬼になりたるを率てのぼりたりといふ事ありて、
- 第五十一段 亀山殿の御池に、大井川の水をまかせられんとて、
- 第五十二段 仁和寺にある法師、年よるまで、石清水を拝まざりければ、
- 第五十三段 是も仁和寺の法師、童の法師にならんとする名残とて、
- 第五十四段 御室に、いみじき児のありけるを、
- 第五十五段 家の作りやうは、夏をむねとすべし。
- 第五十六段 久しく隔りて逢ひたる人の、我が方にありつる事、
- 第五十七段 人の語り出でたる歌物語の、歌のわろきこそ
- 第五十八段 道心あらば、住む所にしもよらじ。家にあり、人に交わるとも、
- 第五十九段 大事を思ひたたん人は、
- 第六十段 真乗院に盛親僧都とて、やんごとなき智者ありけり。
- 第六十一段 御産のとき甑落す事は、さだまれる事にはあらず、
- 第六十二段 延政門院いときなくおはしましける時、
- 第六十三段 後七日の阿闍梨、武者をあつむる事、
- 第六十四段 車の五緒は、必ず人によらず、
- 第六十五段この比(ごろ)の冠(こうぶり)は、
- 第六十六段 岡本関白殿(おかもとのかんぱくどの)、盛りなる紅梅の枝に、
- 第六十七段 賀茂の岩本・橋本は、
- 第六十八段 筑紫に、なにがしの押領使などいふやうなるもののありけるが、
- 第六十九段 書写の上人は、
- 第七十段 元応の清暑堂の御遊びに
- 第七十一段 名を聞くより、やがて面影はおしはからるる心地するを、
- 第七十二段 賤しげなるもの
- 第七十三段 世に伝ふる事、まことはあいなきにや
- 第七十四段 蟻のごとくに集まりて
- 第七十五段 つれづれわぶる人は
- 第七十六段 世の覚え華やかなるあたりに
- 第七十七段 世の中に、その比人のもてあつかひぐさに言ひあへる事
- 第七十八段 今様の事どものめづらしきを
- 第七十九段 何事も入りたたぬさましたるぞよき
- 第八十段 人ごとに、我が身にうとき事をのみぞ好める。
- 第八十一段 屏風・障子などの絵も文字も
- 第八十二段 うすものの表紙は
- 第八十三段 竹林院入道左大臣殿、太政大臣にあがり給はんに
- 第八十四段 法顕三蔵の、天竺にわたりて
- 第八十五段 人の心すなほならねば
- 第八十六段 惟継中納言は
- 第八十七段 下部に酒飲まする事は
- 第八十八段 或者、小野道風の書ける和漢朗詠集とて持ちたりけるを
- 第八十九段 奥山に、猫またといふものありて
- 第九十段 大納言法印の召し使ひし乙鶴丸
- 第九十一段 赤舌日といふ事
- 第九十二段 或人、弓射る事を習ふに
- 第九十三段 牛を売る者あり
- 第九十四段 常盤井相国、出仕し給ひけるに
- 第九十五段 箱のくりかたに緒を付くる事
- 第九十六段 めなもみといふ草あり
- 第九十七段 その物に付きて、その物を費しそこなふ物
- 第九十八段 尊きひじりの言ひ置きける事を書き付けて
- 第九十九段 堀川相国は
- 第百段 久我相国は
- 第百一段 或人、任大臣の節会の内弁を勤められけるに、
- 第百二段 尹大納言光忠入道、追儺の上卿をつとめられけるに、
- 第百三段 大覚寺殿にて、近習の人ども、
- 第百四段 荒れたる宿の、人目なきに、
- 第百五段 北の屋かげに消え残りたる雪の、
- 第百六段 高野証空上人、京へのぼりけるに、
- 第百七段 女の物言ひかけたる返事、とりあへずよきほどにする男は、
- 第百八段 寸陰惜しむ人なし
- 第百九段 高名の木登りといひしをのこ、人をおきてて、
- 第百十段 双六の上手といひし人に、
- 第百十一段 囲碁・双六好みて明かし暮らす人は、
- 第百十二段 明日は遠き国へ赴くべしと聞かん人に、
- 第百十三段 四十にもあまりぬる人の、色めきたる方、
- 第百十四段 今出川のおほひ殿、嵯峨へおはしけるに、
- 第百十五段 宿河原といふところにて、
- 第百十六段 寺院の号、さらぬ万の物にも、
- 第百十七段 友とするにわろき者
- 第百十八段 鯉の羹食ひたる日は、
- 第百十九段 鎌倉の海に鰹といふ魚は、
- 第百二十段 唐の物は、薬の外は、なくとも事欠くまじ。
- 第百二十一段 養ひ飼ふものには、
- 第二十二段 人の才能は、
- 第百二十三段 無益のことをなして時を移すを、
- 第百二十四段 是法法師は、浄土宗に恥ぢずといへども、
- 第百二十五段 人におくれて、四十九日の仏事に、
- 第百二十六段 ばくちの負けきはまりて、
- 第百二十七段 あらためて益なき事
- 第百二十八段 雅房大納言は、才賢く、
- 第百二十九段 顔回は、志、
- 第百三十段 物に争はず、おのれを枉げて人に従がひ、
- 第百三十一段 貧しき者は財をもて礼とし、
- 第百三十二段 鳥羽の作道は、
- 第百三十三段 夜の御殿は東御枕なり
- 第百三十四段 高倉院の法華堂の三昧僧
- 第百三十五段 資季大納言入道とかや聞えける人
- 第百三十六段 医師篤成、故法皇の御前にさぶらひて
- 第百三十七段 花はさかりに
- 第百三十八段 祭過ぎぬれば、後の葵不要なりとて、
- 第百三十九段 家にありたき木は、
- 第百四十段 身死して財残る事は、
- 第百四十一段 悲田院尭蓮上人は、
- 第百四十二段 心なしと見ゆる者も、よき一言いふものなり
- 第百四十三段 人の終焉の有様のいみじかりし事など、
- 第百四十四段 栂尾の上人、道を過ぎ給ひけるに、
- 第百四十五段 御随身秦重躬、北面の下野入道信願を、
- 第百四十六段 明雲座主、相者にあひ給ひて、
- 第百四十七段 灸治、あまた所になりぬれば、
- 第百四十八段 四十以後の人、身を灸を加へて三里を焼かざれば、
- 第百四十九段 鹿茸を鼻にあてて嗅ぐべからず。
- 第百五十段 能をつかんとする人、
- 第百五十一段 或人の伝はく、年五十になるまで
- 第百五十二段 西大寺静然上人、腰かがまり
- 第百五十三段 為兼大納言入道召し捕られて
- 第百五十四段 この人、東寺の門に
- 第百五十五段 世に従はん人は、先(ま)づ機嫌を知るべし
- 第百五十六段 大臣の大饗は
- 第百五十七段 筆をとれば物書かれ
- 第百五十八段 盃のそこを捨つる事は
- 第百五十九段 みなむすびといふは
- 第百六十段 門に額かくるを
- 第百六十一段 花のさかりは
- 第百六十二段 遍照寺の承仕法師
- 第百六十三段 太衝の太の字
- 第百六十四段 世の人あひ逢ふ時、暫くも黙止する事なし
- 第百六十五段 吾妻の人の都の人に交り
- 第百六十六段 人間の営みあへるわざを見るに
- 第百六十七段 一道に携る人、あらぬ道の筵に臨みて
- 第百六十八段 年老いたる人の、一事すぐれたる才のありて
- 第百六十九段 何事の式といふ事は
- 第百七十段 さしたる事なくて人のがり行くは
- 第百七十一段 貝をおほふ人の、我がまへなるをばおきて
- 第百七十二段 若き時は、血気うちにあまり
- 第百七十三段 小野小町が事
- 第百七十四段 小鷹によき犬、大鷹に使ひぬれば
- 第百七十五段 世には心得ぬ事の多きなり
- 第百七十六段 黒戸は
- 第百七十七段 鎌倉中書王にて、御毬ありけるに
- 第百七十八段 或所の侍ども、内侍所の御神楽を見て
- 第百七十九段 入宋の沙門、道眼上人、一切経を持来して
- 第百八十段 さぎちやうは
- 第百八十一段 ふれふれこゆき、たんばのこゆき
- 第百八十二段 四条大納言隆親卿、乾鮭といふものを
- 第百八十三段 人突く牛をば角を切り
- 第百八十四段 相模守時頼の母は
- 第百八十五段 城陸奥守泰盛は、さうなき馬乗りなりけり
- 第百八十六段 吉田と申す馬乗り
- 第百八十七段 よろづの道の人、たとひ不堪なりといへども
- 第百八十八段 或者、子を法師になして
- 第百八十九段 今日は、その事をなさんと思へど
- 第百九十段 妻といふものこそ
- 第百九十一段 夜に入りて物のはえなしといふ人
- 第百九十二段 神仏にも、人のまうでぬ日
- 第百九十三段 くらき人の、人をはかりて
- 第百九十四段 達人の人を見る眼は
- 第百九十五段 或人久我縄手を通りけるに
- 第百九十六段 東大寺の神輿、東寺の若宮より帰座の時
- 第百九十七段 諸寺の僧のみにもあらず、定額の女孺といふ事
- 第百九十八段 揚名介にかぎらず
- 第百九十九段 横川行宣法印が申し侍りしは
- 第二百段 呉竹は葉細く、河竹は葉広し
- 第二百一段 退凡・下乗の卒塔婆
- 第二百二段 十月を神無月と言ひて
- 第二百三段 勅勘の所に靫かくる作法
- 第二百四段 犯人を笞にて打つ時は
- 第二百五段 比叡山に、大師勧請の起請といふ事は
- 第二百六段 徳大寺右大臣殿、検非違使の別当の時
- 第二百七段 亀山殿建てられんとて、地を引かれけるに
- 第二百八段 経文などの紐を結ふに
- 第二百九段 人の田を論ずるもの、訴へに負けて
- 第二百十段 喚子鳥は春のものなりとばかり言ひて
- 第二百十一段 よろづの事は頼むべからず
- 第二百十二段 秋の月は、かぎりなくめでたきものなり
- 第二百十三段 御前の火炉に火を置く時は
- 第二百十四段 想夫恋といふ楽は
- 第二百十五段 平宣時朝臣、老の後、昔語りに
- 第二百十六段 最明寺入道、鶴岡の社参の次に
- 第二百十七段 或大福長者の言はく
- 第二百十八段 狐は人に食ひつくものなり
- 第二百十九段 四条黄門命ぜられて言はく
- 第二百二十段 何事も辺土は、賤しく、かたくななれども
- 第二百二十一段 建治・弘安の比は、祭の日の放免の付物に
- 第二百二段 竹谷乗願房
- 第二百二十三段 鶴の大臣殿は
- 第二百二十四段 陰陽師有宗入道、鎌倉よりのぼりて
- 第二百二十五段 多久資が申しけるは、通憲入道、舞の手の中に
- 第二百二十六段 後鳥羽院の御時、信濃前司行長
- 第二百二十七段 六時礼賛は
- 第二百二十八段 千本の釈迦念仏は、文永の比
- 第二百二十九段 よき細工は
- 第二百三十段 五条内裏には、妖物ありけり
- 第二百三十一段 園の別当入道は、さうなき庖丁者なり
- 第二百三十二段 すべて人は、無智無能なるべきものなり
- 第二百三十三段 万の咎あらじと思はば
- 第二百三十四段 人のものを問ひたるに
- 第二百三十五段 主ある家には、すずろなる人
- 第二百三十六段 丹波に出雲といふ所あり
- 第二百三十七段 柳筥に据ゆるものは
- 第二百三十八段 御随身近友が自讃とて
- 第二百三十九段 八月十五日、九月十三日は、婁宿なり
- 第二百四十段 しのぶの浦の蜑の見るめも所せく
- 第二百四十一段 望月のまどかなる事は
- 第二百四十二段 とこしなへに違順に使はるる事は
- 第二百四十三段 八になりし時、父に問ひて言はく
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