第百十段 双六の上手といひし人に、
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双六の上手といひし人に、その行(てだて)を問ひ侍りしかば、「勝たんと打つべからず。負けじと打つべきなり。いづれの手かとく負けぬべきと案じて、その手を使はずして、一目(ひとめ)なりともおそく負くべき手につくべし」といふ。
道を知れる教、身を治め、国を保たん道も、又しかなり。
口語訳
双六の上手という人に、そのやり方を質問しました所、「勝とうとして打ってはならない。負けまいとして打つべきだ。どの手を打てば早く負けるだろうと考えて、その手を使わずに、一目でも遅く負けるようなやり方をすべきだ」と言う。
その道をよく知った教えであって、身を治め、国を保つ道も、又同じである。
語句
■双六 今の双六とは違う。二人で対局し、それぞれ黒・白の十二の駒を担当し、二個の賽子を筒に入れて振出、出目によって盤上を進めていく。すべての駒が敵陣に侵入したら勝ち。賭博としても行われた。 ■一目 双六の盤の筋目。
メモ
■今の双六とぜんぜん違う。
■孫子
■商売のありよう。
■倒産するのは在庫があるから。最低でもゼロにしかならないビジネスを。
■パチプロが似たようなことを言ってた。
朗読・解説:左大臣光永