第百十一段 囲碁・双六好みて明かし暮らす人は、

囲碁・双六好みて明かし暮らす人は、四重・五逆にもまされる悪事とぞ思ふ」と、あるひじりの申しし事、耳にとどまりて、いみじくおぼえ侍る。

口語訳

囲碁・双六を好んで日を過ごす人は、四重・五逆の罪よりもひどい悪事を行っていると思う」と、ある聖が申した事が、耳に留まって、印象深く思います。

語句

■四重 仏語「四重罪」の略。殺生・偸盗・邪淫・妄語の四つの罪。 ■五逆 仏語「五逆罪」の略。父を殺す、母を殺す、阿羅漢(最高の境地に達した聖者)を殺す。僧の和合を破る。仏身を傷つけるという五つの罪。

メモ

■前段では双六の名人に教わるべき所を見出しながら、本段ではやはり双六などにふけるのはよくないとする。多面的。

朗読・解説:左大臣光永