第百九十七段 諸寺の僧のみにもあらず、定額の女孺といふ事
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諸寺(しょじ)の僧のみにもあらず、定額(じょうがく)の女孺(にょじゅ)といふ事、延喜式に見えたり。すべて、数さだまりたる公人(くにん)の通号(つうごう)にこそ。
口語訳
「定額(じょうがく)」という用語は、寺々の僧についてのみ言われる用語ではない。定額(じょうがく)の女孺(にょじゅ)という事が、延喜式に見えている。すべて、定員が決まっている下級役人に共通する呼び方なのだ。
語句
■諸寺の僧のみにもあらず 「定額」という言葉は、諸寺の僧のみについて使われる言葉ではない、の意。「定額僧」は特定の寺に定員を定めて置かれ供料(給料)をもらっていた僧。単に「定額」とも。 ■定額 定まった額。数量。各寺に、一定の人数を決めて、僧を置いた。それを「定額僧」といった。 ■女孺 宮中の雑役に従事する下級の女官。 ■延喜式 五十巻。延喜5年(905年)醍醐天皇の勅命により藤原時平・忠平らが編纂。宮中の儀礼・作法などを記した書。 ■公人 宮中に仕える下級役人。 ■通号 共通した名称。
メモ
●考証的章段。現代的な意味はまったく感じられない。
朗読・解説:左大臣光永