第六十三段 後七日の阿闍梨、武者をあつむる事、
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後七日の阿闍梨、武者をあつむる事、いつとかや盗人(ぬすびと)にあひにけるより、宿直人(とのいびと)とて、かくことことしくなりにけり。
一年(ひととせ)の相は、この修中のありさまにこそ見ゆなれば、兵(つわもの)を用ゐん事、おだやかならぬことなり。
口語訳
正月の後七日の御修法を取り仕切る阿闍梨が武者を集めることは、いつであるとか盗人にあったことにより、宿直人(とのいびと)と称して、このように仰々しく警護させることになったのだ。
一年の吉凶は、この修法中のありさまに見えるというので、そのような場に武士を用いる
ことは、おだやかで無いことだ。
語句
■後七日 後七日の御修法。正月八日から七日間、大内裏の真言院で行われる仏事。一日から七日までに行われる節会に対して後七日という。 ■阿闍梨 弟子を指導する高僧。 ■宿直人 宮中・役所の警護にあたる者。 ■修中 修法中。
メモ
■後七日
■神聖な行事に血なまぐさい武士を置くなどけがらわしいという兼好の考え。
朗読・解説:左大臣光永