第三十九段 或人、法然上人に、

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或人、法然上人に、「念仏の時、睡(ねぶり)にをかされて行(ぎょう)を怠り侍る事、いかがして、この障りをやめ侍らん」と申しければ、「目のさめたらんほど、念仏し給へ」と答へられたりける、いと尊(とうと)かりけり。又、「往生は、一定と思へば一定、不定(ふじょう)と思へば不定なり」と言はれけり。これも尊し。又、「疑ひながらも念仏すれば、往生す」とも言はれけり。これも又尊し。

口語訳

ある人が法然上人に、「念仏の時、眠くなって、念仏のお勤めを怠ってしまう事は、どうやって、この障害をやめたらよいでしょう」と申した所、「目が覚めた時に念仏なさい」とお答えになったという、たいそう尊い。又、「極楽往生できるかは、確実と思えば確実、不確実と思えば不確実」とおっしゃったという。これも尊い。また、「疑いながらも念仏すれば、往生する」ともおっしゃったという。これもまた尊い。

語句

■法然 法然坊源空(1133-1212)浄土宗の開祖。美作の押領使漆間時国の子。9歳で父が亡くなると出家する。比叡山で天台宗を学ぶが43歳の時、唐の善導の著作を読み、専修念仏に目覚める。 ■念仏 「南無阿弥陀仏」と唱えること。称名念仏。法然はこれを重視し、外の行を退けた。 ■行 念仏の勤行。 ■往生 死後、極楽浄土に生まれ変わること。 ■一条・不定 「一定」は確実に定まっていること。「不定」は不確実なこと。

法然

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朗読・解説:左大臣光永

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