四編下 藤川より岡崎へ

原文

棒鼻の茶屋、軒ごとに生魚をつるし、大平皿鉢(ひらさらはち)みせさきにならべたてて、旅人の足をとどむ。弥次郎兵衛

ゆで蛸(だこ)のむらさきいろは軒毎(のきごと)にぶらりとさがる藤川の宿

それより此宿をうちすぎ、出はなれのあやしげなる茶みせに休(やす)みて

北八「なんだか、ごうてきにむしがかぶる。ばあさん素湯(さゆ)はあるめへか

ちややの婆「ハアさゆはござらぬ。水をしんぜませうか

北八「エエくすりをのむのだへ。コリヤたまらなくなつた。時に雪隠(せつちん)はどこにある

弥次「どこにとつて、そんなにおいへ(屋上)を見廻しても、雪隠が畳の上にあるものか。裏へいかつし

北八「ヒヤアつきあたりに見へる見へる

トうらへ出せつちんへゆき、しばらく用たして出、あたりを見れば、此うらに、ものおきをすまゐとせしひとつ家あり、内に十八九のむずめ、髪はとりみだしゐれども、なかなかの上しろもの、只ひとりゐるよふす、北八れいのわるじやれにて、すつと此内へはいりて笑ひかけ

北八「モシ御無心(むしん)ながら、水をひとつ

ト手をあらふ内、娘はけらけらとわらつてゐる

北八「コウあねさん、おめへ何を笑(わら)ひなさる。そしてひとりここにゐなさるのか。不用心(ぶようじん)な

トあたりを見れども人はなし。きた八こしをかけて、たばこすい付ケ

現代語訳

藤川より岡崎へ

食駅の外れの茶屋では、軒毎に生魚を吊るして干している。大きな平皿を店先に並べて、旅人足を止める。弥次郎兵衛が歌を詠む

ゆで蛸(だこ)のむらさきいろは軒毎(のきごと)にぶらりとさがる藤川の宿

それから此の宿を過ぎ、宿駅の出口の町はずれにあるあやしげな茶店に腰を下ろし休む。

北八「なんだか、たいそう腹がじくじくと痛い。婆さん、白湯はあるめえか」

茶屋の婆「はあ、白湯はござらぬ。水をあげましょうか」

北八「ええ、薬を飲むんだわ。こりゃ、たまらなくなった。時に便所はどこにある」

弥次「どこにとって、そんなに家の中を見回しても、便所が畳の上にあるものか。裏へ行かっし」

北八「ひゃあ、突き当りに見える、見える」

と裏へ出て、便所へ行き、しばらく用を足して、そこを出、辺りを見ると、この裏に、物置を住いとした一軒家がある。中には十八九の娘がおり、髪は取り乱してはいるが、なかなかの上物。只一人で居る様子。北八は例の悪い癖で、すっとこの家に入って笑いかけ

北八「もし、お願いですが、水を一杯」

と手を洗うあいだ、娘はけらけらと笑っている。

北八「これ、姉さん、おめえ何を笑いなさる。そして一人ここに居なさるのか。不用心な」

と辺りを見るが人気は無い。北八はあつかましくも腰をかけて、煙草を吸い付け

語句

■棒鼻-宿駅のはずれで、その宿名の表示杭が立っている所。■ゆで蛸の~-「むらさき」と「ぶらりとさがる」は藤の縁。ゆがいた蛸が、軒毎に、紫色でぶらりと下がっているのは、藤川の宿にふさわしい景だの意。■大平皿鉢(ひらさらはち)-大きい平皿または平椀。■出はなれの-宿駅の出口の町はずれ。■むしがかぶる-腹がじくじくと痛い。

原文

「ヘヘきものわりい。何を見てわらひなさる。コレサ何をわらふのだよウ

トむすめの手をとつてひつぱるに、さすがふりきりもせず、やつぱりわらるてゐる。北八こいつは有がたい。もふしめたものだと、ぐつとひきよせる。いつのまにやら子共が見つけて

「ワアイワアイ、あの人は、きちがひと、いろごとをせるやア ハハハハハハ

ト大ごへをあげてわらひかけ出す。北八びつくりして、にげのかんとするに、娘はつかみついてはなさず

娘「エエこのおとこめ、はなさんはなさん

北八「これはなさけない

トむりにひきはなさんとする所へ、此娘のおやぢたちかへりて

「コリヤ我徒(わがと)はわかいおなごをとらへて何せるのじや

北八「イヤなんにもしませぬ

おやぢ「せんものがなんぜ(何条)、女ひとりおる内へはいらつせへた。コリヤじやうち(承知)ならんわい

北八「ナニサ今用たしにいつて、ツイ水をもらつたばかりさ

おやぢ「インニヤあれは気ちがひでござる。こなさん。きのちがふたものをとらへて、なぐさみかけさつせへたに、ちがひはあらまい

北八「ナアニとんだことを

おやぢ「インニヤすまんすまん。気ちがひとあなどつて、ひゆつとこなさんが、やりからかいたにちがやしよまい、とかう(兎角)いわつせるな。此分ではすまんぞすまんぞ

トわめきちらかし大さはぎをやらかす。此内弥次郎兵へ、おもてのちやみせにまちゐたりしが、北八手水にいつてかへらぬゆへ、あとから見にきたり、さきほどより此よふすを、かたかげに見てゐておかしさこらへられず、しかしもふ出かけてやろふと、うそうそ出きたり

弥次「御めんなせへ。わつちやア此おとこの連(つれ)のものだが、いさゐ聞やした。こいつも、あのよふに見へても、ありやうはちつと気がふれてゐやす。了簡(りやうけん)してやつてくんなせへ。エエ此やろうめ、よくせわをやかせる。アノ頬(つら)わよ。アレ見なせへ、きよろきよろする顔(かほ)が証拠(せうこ)。むすめごは女だけまだしも、イヤモこのきちげへにはこまりはてやす

おやぢ「イヤイヤそふではあらまい。ナニあの人が気ちがひなものか

現代語訳

北八「へへ、気持ち悪い。何を見て笑いなさる。これさ何を笑うのだよう」

と娘の手を取って引っ張るが、さすがに振り切りもせず、やっぱり笑っている。北八こいつは有難い。もうしめたものだと、ぐっと引き寄せる。いつのまにやら子供が見つけて

「わあいわあい、あの人は気違いなのに情事をしているぞ。 はははははは」

と大きく顎をを上げて笑い駈け出す。北八はびっくりして、逃げ退こうとするが、娘は抱き着いて放さず

娘「ええ、この男め、放さん、放さん」

北八「これは情ない」

と無理に引き離そうとするが、そこへこの娘の親父が帰って来て

「こりゃ、お前は若い女子を捕まえて何をしておるのじゃ」

北八「いや、何にもしませぬ」

親父「せんものが何故、女一人おる家へ入らっせえた。こりゃ承知ならんわい」

北八「なにさ、今便所に行って、つい、水をもらったばかりさ」

親父「いんや、あれは気違いでござる。お前さん、気の違った者を捕らえて、慰み者にしようとなさったに、違いはあるまい」

北八「なあに、とんだことを」

親父「いんにゃ、すまん、すまんぞ。気違いとあなどって、ひょっとお前さんがやらかしたに相違はあるまい。問答無用。このままでは済まぬぞ済まぬぞ」

とわめき散らかし、大騒ぎをする。その間、弥次郎兵衛は表の茶店で待っていたが北八が便所に行って帰らないので、後から見に来た。先ほどからこの様子を物陰から見ていて可笑しさをこらえきれず、しかしもうそろそろ仲裁に入らねばとのろのろと出て来た。

弥次「御免なせえ。わっちゃあこの男の連れの者だが、委細の次第聞きやした。こいつも、あのように見えても、実情は少し気がふれていやす。勘弁してやってくんなせえ。ええ、この野郎め、よく世話をやかせるわい。あの面(つら)わよ。あれ、見なせえ、きょろきょろする顔が証拠。娘御は女だけまだしも、いやもうこの気ちげえには困りはてやす」

親父「いやいや、そうではあるまい。なにあの人が気違いであるものか」

語句

■いろごとをせる-色事(情事)をしているぞ。■我徒-ここは二人称の代名詞。お前。■用たしにいつて-便所へ行って。■なぐさみかけさつせへたに、ちがひはあらまい-なぐさみものにしようと、なさったに相違はあるまい。■すまんすまん-このままでは済まぬ。■ひゅつと-ひょっと。■やりからかいた-やらかしたに。■かたかげ-物陰。■出かけてやらうと-事を片付けるために、その場へ出て行こうと。■うそうそ-ここでは、間の抜けた様の形容。のろのろ。■いさゐ-委細の次第。■ありやうは-実情は。

原文

弥次「ハテサあの頬付(つらつき)を見なせへし。アリヤアリヤあのとをりだ。

北八「なんだおれをきちげへだ。コリヤおもしろい。ハハアふるはふるは。アレアレ花のふぶきが、ちりやたらり、うんきんたらり、かんきんちりり、ちりかかるよふで、おいとしうてねられぬ。トトト、トトト。ヤアそこにおるは女房どのか。イヤ能女房(よによぼ)じやに能女房(よによぼ)じやに。コリヤのほいほほい。さんなあろかいな。ヤンヤア

弥次「アレ御ろうじろあのとをり。其くせあのつらで色気違(いろきちげへ)さ。それだから女と見ると、ぴろぴろして、ほんに恥をいはにやア利がきこへやせぬが、こいつめはわしが弟で、イヤモこんな因果なこたアござりやせん

おやぢ「ハアこなさんがそふいわつせると、わしもかなしい。見せつせるとをり、たんだひとりの娘がこの病(やまひ)で、わしはおつきな苦患(くげん)でござる

弥次「さつしております。エエこの馬鹿(ばか)やろうめ、何をげらげらわらうのだ。時に親父(おやぢ)さん、おやかましうござりやした

おやぢ「マアちやでものんでござらつせへ

弥次「もふめへ(参)りやせう。サアきちげへめ、うせおれ

ト弥次郎兵へがちやらくらに、やうやうとまいおさまり、弥次郎兵へ北八をつれて、ここをのがれ出かけ、はては大わらひとなりて

くどきたる娘はほんの気ちがひにこちやまちがひとなりし目ちがひ

かく打興(けう)じて、ここを立出行道すがら

弥次「コウ北八、手めへもとんだものだ。気のちがつた娘をとらまへて、どふしようとおもつて、業さらしなおとこだ

北八「へへめんぼく次第もねへ。しかしわつちまでをきちげへとは、弥次さん、ありやアおめへ一生の出来だぜ

弥次「さけでも買やれ。時にそれについてはなしがある。てうど手めへのよふな気まぐれものが、きちげへの女をとらへて、じやらつきかかると、其女のおやぢが見つけてはらをたて、ヤイ此やらうめは、人のうちへことはりなしに牛込(うしごみ)やアがつて、むすめをちよろまかそふとか。ソリヤア赤坂ベイだはへといふと、手めへもまぬけ気になり、イヤうぬなんだ、くちばしをとんがらかして、四ツ谷鳶(やとんび)のよふだとちやかすと、さきのおやぢが、ヲヲおれがよつやとんびなりやア、うぬは八まんさまの鳩(はと)だといふ。コリヤおかしい。此北八がなぜ八まんさまの鳩だといふと、おやぢが、ハテきさまは、きちげへの豆(まめ)をくをふとしたじやアねへかと。ハハハハハハ北八「なんだ市谷(いちげへ)の地口(ぢぐち)はおそれるハハハハハハ。打わらひつつ行ほどに、あづき坂を過 岡の江ゆふせん寺を打こへて、大平川にいたる

岸(きし)に生(お)ふ芹(せり)のあをみに小鴨(こがも)まで水にひたれる大平(ひら)の川

 

それより大平村を過行ほどに、岡崎の駅にいたる。

現代語訳

弥次「はて、あの面(つら)つきを見なせえ。ありゃありゃあのとおりだ」

北八「なんだと、俺を気違えだ。こりゃ面白い。ははあ、ふるわふるわ。あれあれ花の吹雪が、ちりやたらり、らんきんたらり、かんきんちりり、散りかかるようで、おいとしゅうて寝られぬわい。やあ、そこにおるのは女房殿。いやよい女房、よい女房殿。こりゃのほいほほい。さんなあろかいな。やあいうああい」

弥次「あれ御覧じろあのとうり。そのくせあの面(つら)で色気違えさ。それだから女と見ると、ぴろぴろして、ほんに恥を言わにゃあ筋道が立ちませんが、こいつめはわしの弟で、いやもうこんな因果なこたあござりやせん」

親父「はあ、お前さんがそう言わっしゃると、わしも悲しい。見さっせるとうり、たった一人の娘がこの病で、わしの大きな悩みの種でござる」

弥次「察しております。ええい、この馬鹿者野郎め、何をげらげら笑うのだ。時に親父さん、おやかましゅうござりやした」

親父「まあ、茶でも飲んで行きなせえ」

弥次「もう参りましょう。さあ、気違いめ、早く行け」

と弥次郎兵衛の出鱈目で、舞台の千秋楽は舞い納まり、弥次郎兵衛は北八を連れて、ここを逃れて出かけ、果てには大笑いで、

くどきたる娘はほんの気ちがひにこちやまちがひとなりし目ちがひ

このように大騒ぎしながら、ここを出立し行く道すがら

弥次「おい、弥次さん、手めえもとんだ奴だ。気違いの娘を捕まえて、どうしようと思って、恥さらしな男だ」

北八「へへ、面目次第もねえ。しかしわっちまでも気違えとは、弥次さん、ありゃあおめえ上出来だぜ」

弥次「礼に酒をいっぱいおごれ。時にそれについて話がある。丁度手めえのような気まぐれ者が、気違えの女を捕らえて、冗談をしかけると 、その女の親父が見つけて腹を立て、やい、この野郎めは、人の家へ理もなしに押し込みやぁがって、娘をだまそうとか。そりゃああかんべいだわいと言うと、手めえも負けぬ気になり、いや、お前は何だ、嘴をとんがらかしやぁがって、四ツ谷鳶(やとんび)のようだと馬鹿にすると、先の親父が、おお、俺が四谷鳶なりゃあ、お前は八幡様の鳩だと言う。こりゃ可笑しい。この北八が何故八幡さまの鳩だと言うと、親父が、はて、貴様は、気違えの豆を食おうとしたじゃあねえかと。はははははは」

北八「なんだ市谷の地口とは恐れ入る。はははははは。笑いながら行くと、あづき坂を過ぎて、岡の郷竜泉寺、続いて三河国三大河の一つ大平川に到着する。

岸(きし)に生(お)ふ芹(せり)のあをみに小鴨(こがも)まで水にひたれる大平(ひら)の川

大平村を過ぎ、岡崎の御城下に着いた。

語句

■ふるはふるは-長唄「道行旅初桜」(宝暦十二年五月初演)に「・・・ちりかかる雪か、花の吹雪か、散りかかる袖がさの」などある。■ちりやたらり-謡曲「翁」の初めに「とうとうたらりたらりら、・・・ちりやたらりたらりら・・・」。■うんきんたらり-『頭註』に「暖なれば睾丸がだらりとし、寒ければ縮まる。故に温睾丸タラリ寒睾丸チリリと云ふのである」。■ちりかかるよふで-長唄の「英獅子の乱曲(はなぶさししのらんぎょく)」(寛保二年春初演、後に「枕獅子」と改題)に「時しも今は牡丹の花の咲くや乱れて、散るは散るは散り来るは散り来るは、ちりちりちりちりかかるやうで、おいとしうて寝られぬ」。■能女房(よによぼ)-浄瑠璃「近頃河原の達引」(天明五年江戸肥前座初演、為川宗輔・筒川半二・奈河七五三助作)の堀河の段に「能い女房じやにじやに、又さんなあろかいなも」。狂人の風で、いろいろのものの文句を混じて、歌いつ踊りつしているさまである。■びろびろして-ぬれかかるさま。気もそぞろになるさま。■恥をいはにやア利がきこへやせぬ-恥ずかしい事でも、言わないと物の道理がわからぬ意の諺。■因果なこたア-困った巡りあわせ。不運。■苦患(くげん)でござる-仏語で、もともとは地獄で受ける苦しみ。転じて、そのように甚だしい悩みの意。■さつしております-同じ境遇なので、同情されます。■うせおれ-早く行け。■ちやらくらに-ごまかしに。■まいおさまり-舞が終り。■くどきたる~-口説いた女はほんとうの気違いであったために、自分は間違い事即ち悶着を引き起こしたが、もとはといえば目ちがい即ち気違いを見そこなったからのことの意。「ちがい」尽しの趣向。■業さらし-恥さらし。■一生の出来-上出来。秀逸。■さけでも買(か)やれ-礼に酒を一杯おごれ。■じやらつきかかる-冗談をしかける。■牛込-「押し込みやあがって」に、江戸の地名「牛込」(千代田区のうち、今は「うしごめ」とよむが、早くから「うしごみ」ともよんだ)を採り入れたもの。■ちよろまかそふとか-ごまかす。こっそり手に入れようとするのか。■赤坂ベイ-人に何かを拒否する時、目の下部を押えて、裏の赤目を出して見せるにいう語「あかすかべい」(また「あかんべい」)に、江戸の地名「赤坂(港区赤坂一帯の地)を採り入れたもの。■くちばしをとんがらかして-口をつき出して、人を罵っているさま。■四ツ谷鳶(やとんび)-今言う奴凧。この当時は土器鳶・四谷鳶といって、嘴の付いた、又すほうにて染などした鳶凧などさまざまな鳶凧があったが、今はどれも無い(宝暦現来集)。■ちやかす-ばかにする。ひやかす。■八まんさまの鳩-八幡宮の使いものの鳩。八幡宮の額の文字も鳩の形にするなど、鳩と八幡宮は縁が深いが、下の下品な洒落に続くので、固有名は略してある。■きちげへの豆(まめ)をくをふとした-気違い女の陰部をねらったの意。豆は鳩の餌。「きちげえ」には江戸の地名「市谷」(新宿区)をかけてある。ここに落語を一つ投入したのであるが、落を次に説明するのは、大衆読者を予想しているからである。■地口-一つの語句に二つの意味をもつように作った滑稽な趣向。■あづき坂-『諸国道中記』に西尾への分岐点をいい、「是より一里ばかり行く。あづき坂、坂の内三四町有り。古戦ば也」。小豆坂の七本鎗とて勇士のほまれ有りし所也」。『東海道名所図絵』によると、天文十一年(1542)八月十日、今川・織田の合戦場。■岡の江ゆふせん寺-『諸国道中記』に「岡の郷、ゆうせん寺川、庄田の郷」。岡の「江」は、この道中記の「郷」の草体の読み違いであろう。『東海道宿村大概帳』には、額田郡に、岡村・竜泉寺・竜泉寺川・生田村が見える。■大平川-『諸国道中記』に「大平川、はし四十三間、もとは男川と云ふ。右に御館の跡有り」。『名所図絵』に「大屋川、・・・一名男川、又大平川ともいふ。三河三大河の其一つなり。春夏の頃は、小鮎多く石に触れて瀬々をのぼる。此辺の奇観なり」。■岸に生ふ~-大平川の景を大平椀に、小鴨に芹の青味をそえた肴が入ったことに見立てた詠。■大平村-『諸国道中記』に「大平村、茶や有り。此所霊芝多く生ズる」。額田郡にて東・西の二村に分れる(大概帳)。■岡崎の駅-三河国額田郡、本多氏の城下町の宿駅(今の岡崎市)。藤川より一里半七丁。

次の章「四編下 岡崎より池鯉鮒へ

朗読・解説:左大臣光永

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