【末摘花 13】源氏、末摘花と逢う

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原文

…一部、修正中…

…ことごとしく儀式官《ぎしきくわん》の練《ね》り出でたる肘《ひぢ》もちおぼえて、さすがにうち笑《ゑ》みたまへる気色《けしき》、はしたなうすずろびたり。いとほしくあはれにて、いとど急ぎ出でたまふ。「頼もしき人なき御ありさまを、見そめたる人には、うとからず思ひ睦《むつ》びたまはむこそ、本意《ほい》ある心地すべけれ。ゆるしなき御気色《けしき》なれば、つらう」などことつけて、

朝日さす軒《のき》のたるひはとけながらなどかつららのむすぼほるらむ

とのたまへど、ただ「むむ」とうち笑ひて、いと口重げなるもいとほしければ、出でたまひぬ。

現代語訳

…一部、修正中…

源氏の君は、気の毒でもあり、可愛そうでもあり、たいそう急いで退出なさる。(源氏)「姫君には頼みにできるような人がないご様子なので、私のように姫君を見初める男がいたら、疎遠にせず、親しまれることこそ、その男も願いがかなう気持ちがするでしょう。私に対してはお許しがないご様子なので、辛いです」などと逃げ出すための口実を作って、

朝日さす…

(朝日がさす軒のつららは溶けておりますのに、あなたはどうして私に対して打ち解けてくださらないのでしょう)

とおっしゃるが、姫君はただ「うう」と微笑まれて、たいそう口が重そうなのも気の毒なので、源氏の君は退出なさった。

語句

■ことつけて 口実を作って。

朗読・解説:左大臣光永

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