古事記(十五)大国主神の系譜

故《かれ》、此《こ》の大国主神《おほくにぬしのかみ》、胸形《むなかた》の奥津宮《おくつみや》に坐《いま》す神、多紀理毘売命《たきりびめのみこと》を娶りて生みし子は、阿遅鉏高日子根神《あぢすきたかひこねのかみ》、次に、妹《いも》高比売命《たかひめのみこと》。亦の名は下光比売命《したでるひめのみこと》。

此《こ》の阿遅鉏高日子根神《あぢすきたかひこねのかみ》は、今迦毛大御神《かものおおみかみ》と謂ふぞ。

大国主神、亦《また》、神屋楯比売命《かむやたてひめのみこと》を娶りて生みし子は、事代主神《ことしろぬしのかみ》。亦、八島牟遅能神《やしまむぢのかみ》の女《むすめ》、鳥取神《ととりのかみ》を娶りて生みし子は、鳥鳴海神《とりなるみのかみ》。

此の神、日名照額田毘道男伊許知邇神《ひなてりぬかたびちをいこちにのかみ》を娶りて生みし子は、国忍富神《くにおしとみのかみ》。

此の神、葦那陀迦神《あしなだかのかみ》、亦の名は八河江比売《やがはゑひめ》を娶りて、生みし子は、速甕之多気佐波夜遅奴美神《はやみかのたけさはやぢぬのみのかみ》。

此の神、天之甕主神《あめのみかぬし》の女《むすめ》、前玉比売《さきたまひめ》を娶りて、生みし子は、甕主日子神《みかぬしひこのかみ》。

此の神、淤加美神《おかみのかみ》の女《むすめ》、比那良志毘売《ひならしびめ》を娶りて、生みし子は、多比理岐志麻流美神《たひりきしまるみのかみ》。

此の神、比々羅木之其花麻豆美神《ひひらぎのそのはなまづみのかみ》の女《むすめ》、活玉前玉比売神《いくたまさきたまひめのかみ》を娶りて、生みし子は、美呂浪神《みろなみのかみ》。

此の神、敷山主神《しきやまぬしのかみ》の女《むすめ》、青沼馬沼押比売《あおぬうまぬおしひめ》を娶りて、生みし子は、布忍富鳥鳴海神《ぬのおしとみとりなるみのかみ》。

此の神、若尽女神《わかつくしめのかみ》を娶りて生みし子は、天日腹大科度美神《あめのひはらおほしなどみのかみ》。

此の神、天狭霧神《あめのさぎりのかみ》の女《むすめ》、遠津待根神《とほつまちねのかみ》を娶りて、生みし子は、遠津山岬多良斯神《とほつやまさきたらしのかみ》。

右の件《くだり》の、八島士奴美神《やしまじぬみのかみ》より以下《しも》、遠津山岬帯神《とほつやまさきたらしのかみ》より以前《さき》は、十七世《とをよあまりななよ》の神と謂ふ。

そこで、この大国主神《おほくにぬしのかみ》が、胸形《むなかた》の奥津宮《おくつみや》に坐《いま》す神、多紀理毘売命《たきりびめのみこと》を娶って生んだ子は、阿遅鉏高日子根神《あぢすきたかひこねのかみ》、次に、妹《いも》高比売命《たかひめのみこと》。亦の名は下光比売命《したでるひめのみこと》。

此《こ》の阿遅鉏高日子根神《あぢすきたかひこねのかみ》は、今迦毛大御神《かものおおみかみ》と謂うのだ。

大国主神が、また、神屋楯比売命《かむやたてひめのみこと》を娶って生んだ子は、事代主神《ことしろぬしのかみ》。亦、八島牟遅能神《やしまむぢのかみ》の女《むすめ》、鳥取神《ととりのかみ》を娶って生んだ子は、鳥鳴海神《とりなるみのかみ》。

この神(大国主)が、日名照額田毘道男伊許知邇神《ひなてりぬかたびちをいこちにのかみ》をって生んだ子は、国忍富神《くにおしとみのかみ》。

この神(大国主)が、葦那陀迦神《あしなだかのかみ》、亦の名は八河江比売《やがはゑひめ》を娶って、生んだ子は、速甕之多気佐波夜遅奴美神《はやみかのたけさはやぢぬのみのかみ》。

この神(大国主)が、天之甕主神《あめのみかぬし》の女《むすめ》、前玉比売《さきたまひめ》を娶って、生んだ子は、甕主日子神《みかぬしひこのかみ》。

この神(大国主)が、淤加美神《おかみのかみ》の女《むすめ》、比那良志毘売《ひならしびめ》を娶って、生んだ子は、多比理岐志麻流美神《たひりきしまるみのかみ》。

この神(大国主)が、比々羅木之其花麻豆美神《ひひらぎのそのはなまづみのかみ》の女《むすめ》、活玉前玉比売神《いくたまさきたまひめのかみ》を娶って、生んだ子は、美呂浪神《みろなみのかみ》。

この神(大国主)が、敷山主神《しきやまぬしのかみ》の女《むすめ》、青沼馬沼押比売《あおぬうまぬおしひめ》を娶って、生んだ子は、布忍富鳥鳴海神《ぬのおしとみとりなるみのかみ》。

この神(大国主)が、若尽女神《わかつくしめのかみ》を娶って生んだ子は、天日腹大科度美神《あめのひはらおほしなどみのかみ》。

この神(大国主)が、天狭霧神《あめのさぎりのかみ》の女《むすめ》、遠津待根神《とほつまちねのかみ》を娶りて、生んだ子は、遠津山岬多良斯神《とほつやまさきたらしのかみ》。

右に挙げたの、八島士奴美神《やしまじぬみのかみ》以下、遠津山岬帯神《とほつやまさきたらしのかみ》以前《さき》は、十七世《とをよあまりななよ》の神という。

……

大国主のたくさんの妻とその子供たちのリストアップ。

朗読・解説:左大臣光永
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解説:左大臣光永
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